実務

「できない」ではなく「どう取り組んだか」──支援記録の書き方

2026年7月1日 南方教育研究所合同会社

支援記録を書くとき、こんな一文になっていないでしょうか。「順番が待てませんでした」「課題に取り組めませんでした」。

事実ではあります。でも、この書き方には二つの問題があります。一つは、子どもを「できない子」として固定してしまうこと。もう一つは、次の支援につながる情報が、ほとんど残らないことです。

記録は、評価表ではありません。次の関わりのための、観察の記録です。今回は「できない」で止めない書き方を考えます。

「できない」を「どう取り組んだか」に変える

「順番が待てませんでした」を、もう一歩ふみこんで書いてみます。

「順番を待つ場面で、最初は前に出ようとしたが、スタッフが横に立つと10秒ほど待てた」。

同じ出来事でも、こう書くと情報がまるで違います。何がきっかけで、どこまでできて、何があれば待てたのか。次に同じ場面が来たとき、支援員は「横に立つ」という手がかりを持って関われます。

「できたか・できなかったか」の二択ではなく、「どんなプロセスだったか」を残す。これが、記録を支援につなげる第一歩です。

3つの視点で、プロセスを具体化する

プロセスを書こうとしても、慣れないうちは手が止まります。次の3つの視点を持つと、書きやすくなります。

  1. きっかけ:どんな場面・声かけ・環境で、その行動が起きたか。
  2. 子どもの動き:実際にどう振る舞ったか。表情や言葉も含めて。
  3. 支援の手がかり:何があると、うまくいったか(あるいは難しかったか)。

「難しかった」だけで終わらせず、この3つのどれか一つでも添えると、記録は次に使える情報になります。

前向きに書くことは、事実をゆがめることではない

誤解されがちですが、「前向きに書く」とは、できなかったことを隠したり、良く見せかけたりすることではありません。事実は事実として、ただし「できない」というレッテルではなく、「取り組みのプロセス」として残す、ということです。

その積み重ねは、保護者にも誠実に伝わります。「うちの子は、こういう場面でこう関わってもらえている」と分かることが、信頼になります。

記録の質を、負担なく揃える

とはいえ、忙しい現場で毎回このレベルの記録を書き続けるのは大変です。書く人によって、視点や具体性にばらつきも出ます。

私たちが作っている「そだちノート」は、支援員が話すだけで、その日の子どもの姿を観察記録の下書きに整えます。さらにAIがそっと問い返すことで、「そういえば、あの場面はどうだったか」と、書き手自身が観察の抜けに気づけます。AIは言語化を支える黒子で、子どもの姿に意味を見いだすのは、いつも先生です。

「できない」で止めない記録が、無理なく続けられる。そんな現場を、一緒につくっていけたらと思っています。

南方教育研究所合同会社
放課後等デイ・児童発達支援むけ観察記録アプリ「そだちノート」の運営元です。

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