実務

個別サポート加算とは|算定要件・単位数・調査表と記録の残し方(放課後等デイサービス)

2026年10月18日 株式会社KOTOHA

「うちの子は対象なのか、誰がどう決めるのか」「調査表に、事業所の記録はどう関わるのか」。こうした疑問は、個別サポート加算が一つの名前のもとに、性格の違う三つの区分を持っていることから生まれます。

この記事では、告示と留意事項通知にもとづいて、区分ごとの単位数と要件、調査表の考え方、ほかの加算との関係を整理し、判定や連携の経過を後から説明するための記録の残し方を、架空の例で示します。

この記事で確認した原典

個別サポート加算とは

放課後等デイサービスには、**Ⅰ(子どもの状態にもとづく。対象は市町村が認めた子ども)、Ⅱ(要保護・要支援の子どもについて、公的機関や主治医と連携)、Ⅲ(不登校の子どもについて、学校や家族等と連携)**の三つがあります。区分によって、手続も残すべき記録も変わります。

児童発達支援にも同名の加算がありますが、区分はⅠとⅡで、Ⅲはありません。

単位数

放課後等デイサービス(告示 第3の7)

区分対象単位数
Ⅰ(1)行動上の課題を有する就学児90単位/日
Ⅰ(1)に加える分基礎研修修了者を配置して支援した場合30単位/日(合計120単位)
Ⅰ(2)著しく重度の障害を有する就学児120単位/日
Ⅱ要保護児童・要支援児童150単位/日
Ⅲ不登校の就学児70単位/日

いずれも「1日につき」の加算で、月の回数の上限は告示本文にありません。

児童発達支援(告示 第1の9)

区分対象単位数
Ⅰ重症心身障害児、または身体・知的・精神に重度の障害がある児童120単位/日
Ⅱ要保護児童・要支援児童150単位/日

令和6年度改定と令和8年度の動き

放デイのⅢは、令和6年度の報酬改定で新設された区分です。同じ改定で、それまで一つだったⅠが、Ⅰ(1)(調査表の合計13点以上)とⅠ(2)(3以上の日常生活動作で全介助)に分かれ、Ⅰ(1)に基礎研修修了者の30単位が加わりました(留意事項通知の令和6年3月29日付こ支障第94号による改正の新旧対照表)。改定前のⅠは100単位でした(自治体の公表資料による)。令和8年度は、告示の改正(令和8年こども家庭庁告示第5号)でも、留意事項通知の改正でも、この加算の単位数と取扱いは変わっていません。

算定要件を整理する

Ⅰ|子どもの状態にもとづく加算

1. 対象の決め方は二通り。 通知は、就学児サポート調査表(270号告示の8の4の表と、食事・排せつ・入浴・移動の項目)のうち、次のいずれかに該当すると市町村が認めた子どもを評価するとしています。

2. 調査表は「考え方」で理解する。 調査表は、食事・排せつ・入浴・移動の介助の項目と、意思疎通や行動などの項目で、その子の状態を見る仕組みです(項目の立て方は、自治体の調査票でご確認ください)。項目の文言は書き写しません。大事なのは、各項目がどのくらいの頻度で、どんな場面で見られるかという実際の姿を点数に置き換えていることです。後から説明できる材料は、日々の具体的な観察です。

3. 事業所の記録の位置づけ。 通知は、Ⅰのために事業所が作成する記録を定めていません。調査表の手続は市町村で違い、たとえば大田区は、再判定を申し出るときの就学児サポート調査票について、事業所と保護者の双方で確認して作成するよう案内しています。

4. 基礎研修修了者の加算(30単位)。 Ⅰ(1)の子どもに、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)の修了証明書の交付を受けた者を配置し、その修了者が支援を行った場合に加算されます。通知は、常勤換算に限らない「単なる配置」で足りるとしています。告示は、施設基準の適合と都道府県知事への届出を求めています。

5. 算定しない場合。 主として重症心身障害児を通わせる事業所で、重症心身障害児への基本報酬を算定している場合は、Ⅰは加算しません。Ⅰ(1)とⅠ(2)は、どちらか一方のみです(告示)。

Ⅱ|要保護・要支援の子どもへの連携の加算

放課後等デイサービスは、児童発達支援の取扱い(第二の2の(1)の⑫の7)を準用すると定められています。

  1. 連携先との共有。 児童相談所、こども家庭センター等の公的機関、要保護児童対策地域協議会、医師と、子どもが要保護・要支援児童であるという認識や支援の状況等を共有しながら支援します。
  2. 6月に1回以上、文書で。 その記録を文書で保管します。文書は、連携先が作成したもの、または事業所が作成して連携先と共有しているものです。口頭のやり取りのメモだけでは、対象になりません。
  3. 計画への位置付けと同意。 この連携を個別支援計画に位置付け、保護者の同意を得ます。
  4. 説明への配慮。 通知は、支援の必要性を保護者に説明することが適当でない場合があるため、趣旨を理解した上で、算定を慎重に検討するよう求めています。
  5. 市町村から確認があったときは回答します。

Ⅲ|不登校の子どもへの学校・家庭との連携の加算

  1. 対象。 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的な要因・背景により、登校しない、またはしたくてもできない状況で、長期間継続的または断続的に欠席している児童(病気や経済的な理由による者は除く)のうち、学校と緊密に連携して支援する必要があると判断された子どもです。
  2. 同意と計画。 あらかじめ保護者の同意を得て、個別支援計画に位置付けます。計画は学校と連携して作成します。
  3. 学校との情報共有は月1回以上。 対面またはオンラインで行い、実施日時と内容の要点の記録を作成して、学校に共有します。
  4. 家族への相談援助は月1回以上。 個別に行います(居宅訪問、対面、オンラインのいずれも可)。子どもや家族の意向と居宅での過ごし方を把握し、事業所での支援の実施状況を共有して、実施日時と内容の要点の記録を作成します。
  5. 継続の要否の検討。 学校との情報共有で不登校の状態を確認し、登校状況等を考慮して、支援を続けるかを学校と検討します。
  6. 市町村(教育・障害児関係部局)から確認があれば回答します。

併算定の注意点

本文で確認できた範囲です。

運営指導で見られる点

千葉市が令和8年3月19日の事業者説明会で示した資料「令和7年度 障害児通所支援事業者への運営指導の結果について」では、各種加算のよくある算定誤りの事例として、個別サポート加算Ⅰについて、基礎研修修了者が出勤していない(その職員が支援を行っていない)のに加算を算定している例が挙げられています。Ⅰの要件4に対応しています。この資料に、調査表や受給者証の確認に関する記載はありません。

自治体によって確認の仕方や運用は異なります。

記録の残し方|架空の例11組

通知は、Ⅰの事業所の記録を定めていませんが、Ⅱは文書の保管、Ⅲは日時と要点の記録を求めています。通知が求める最低ラインと、通知が直接求めていない項目について当社がおすすめする残し方を分けて示します。見出しに「当社のおすすめ」と付けた例が、後者です。

例はすべて架空で、読み取れる書き方は一例です。算定できるかどうかは、記録の書き方ではなく、実際に要件を満たしていたかで決まります。 調査表の判定は市町村が行うもので、点数を高くするために記録を書くものではありません。

例1|行動の観察(調査表の判定の根拠にした場面)|当社のおすすめ

例2|日常生活の介助の状況(Ⅰ(2)に関わる確認)|当社のおすすめ

例3|見直しの日付|当社のおすすめ

例4|保護者への説明|当社のおすすめ

例5|個別支援計画との対応|当社のおすすめ

例6|基礎研修修了者の配置と支援(Ⅰ(1)の30単位に関わる)

例7|Ⅱ:計画への位置付けと同意

例8|Ⅱ:6月に1回以上の文書での共有

例9|Ⅲ:学校との情報共有(月1回以上)

例10|Ⅲ:家族への相談援助(月1回以上)

例11|Ⅲ:継続の要否の検討

共通するのは、次の4点です。

  1. 事実を具体的に残す。 頻度、場面、時間、誰が何をしたかを、観察のまま書く。
  2. 日付と担当者を残す。 実施日と、行った職員が分かる。
  3. 区分との対応を示す。 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのどの根拠の記録かが分かる。
  4. 計画と同意に辿れるようにする。 計画のどの項目か、同意はいつかを探せる。

「当社のおすすめ」と付けた例は、当社の考えです。最低ラインは、Ⅱなら文書の保管、Ⅲなら学校との共有と家族への相談援助の日時と要点です。

よくある質問

Q. 児童発達支援にも、個別サポート加算はありますか。 A. あります。ⅠとⅡで、単位数は120単位と150単位です。Ⅰの対象は重症心身障害児や、手帳の等級などで示された重度の障害がある児童で、調査表の合計点による区分はありません。Ⅲは放デイだけです。

Q. ⅠとⅡは、同じ子どもに両方算定できますか。 A. 本文に制限する定めは見当たりませんでした。それぞれの要件を満たすことが前提です。自治体にご確認ください。

Q. Ⅲを算定している月に、家族支援加算は使えますか。 A. Ⅲで求める家族への相談援助には、家族支援加算(Ⅰ)は算定できません。それ以外の場面は自治体にご確認ください。

Q. 基礎研修修了者が休みの日の30単位は。 A. 修了者が対象の子どもに支援を行った場合の加算です。出勤していない日の算定は、千葉市の運営指導で指摘されています。

まとめ

個別サポート加算には、①市町村が認めた子どもの状態を評価するⅠ、②関係機関と文書で共有するⅡ、③学校・家庭と連携するⅢ、という性格の違う区分があります。まず、どの区分を算定しているか、その要件が何かを整理することが第一歩です。

Ⅰは市町村の判定が起点で、事業所の記録は判定の代わりにはなりません。それでも、その子の姿を具体的に残しておくと、市町村や保護者に状況を説明するときの手がかりになります。Ⅱ・Ⅲは、同意、計画、記録が要件に直結しています。

記録を、日々の支援の中で残すために

そだちノートは、支援員が話すと、AIが短い問いかけで場面を聞き返し、施設の中で共有する記録文に整えるアプリです。そこから、先生が確認して送る保護者向けのおたよりと、明日以降に試すこと(観察する点・関わり方の案)ができます。来所・退所の記録、家族との相談(相談援助)の記録画面、加算の点検は、いまは準備中です。調査表の判定は市町村が行い、記録の判断と、加算を算定してよいかどうかの判断は、いつも事業所が行います。

※この記事は、2026年10月18日時点の告示・留意事項通知にもとづく一般的な情報です。自治体によって運用が異なる場合があります。個別の算定の判断は、お住まいの自治体や所管の窓口にご確認ください。

株式会社KOTOHA
放課後等デイ・児童発達支援むけ観察記録アプリ「そだちノート」の運営元です。

その子の"そだち"を、今日から。

初期費用0円・縛りなし。まずは無料でお試しください。

App Storeで無料ダウンロード 相談する 経営セルフ診断(2分)