実務

送迎加算とは|算定要件・単位数・記録の残し方(放課後等デイ・児童発達支援)

2026年10月18日 株式会社KOTOHA

「送迎は毎日しているが、何を記録すればよいのかわからない」「最寄駅での集合や、学校へのお迎えは算定してよいのか」。管理者の方から、こうしたご質問をいただきます。

送迎加算は、障害児の居宅等(放課後等デイサービスは学校等も)と事業所との間の送迎を行った場合に、片道ごとに算定する加算です。単位数は、事業所の種類、同乗する職員、同じ敷地内かどうかで分かれます。

この記事では、告示と留意事項通知にもとづいて単位数・区分・要件を整理し、何をどう残すかを架空の記録例で示します。

この記事で確認した原典

送迎加算とは

利用する子どもを、居宅等と事業所の間で送迎した場合に、片道につき算定する加算です。

児童発達支援で、保育所や幼稚園との間の送迎を対象にできるかは、自治体によって扱いが分かれています。対象にならないとする県の通知(栃木県、平成29年)がある一方、事業所・保育所等・保護者の三者で事前に調整し、計画に記載して同意を得た場合に限って対象とする市の取扱い(うるま市、令和8年6月から)もあります。また旭川市は、こども家庭庁への照会をもとに、保育所や放課後児童クラブなどがその子の「居宅に替わる一時的な生活場所」になっている場合は、そこへの送りを対象として差し支えない、と整理しています。お住まいの自治体にご確認ください。

単位数と区分

区分対象単位数(片道)
送迎加算(基本)下の「ロ」の子を除く障害児・就学児54単位
上乗せ(注1の2)基本の加算を算定する事業所のうち、届出をした事業所が、重症心身障害児または医療的ケア児を送迎する場合+40単位
上乗せ(注1の3)同じく届出をした事業所が、中重度医療的ケア児(医療的ケアのスコアの合算が16点以上)を送迎する場合+80単位
送迎加算(ロ)児童発達支援は、児童発達支援センターと主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬を算定する子。放課後等デイサービスは、主として重症心身障害児を通わせる事業所の子。届出が必要重症心身障害児・医療的ケア児は40単位、中重度医療的ケア児は80単位

注1の2の上乗せは、注1の3の上乗せをしているときは算定しません。ロの(1)は、ロの(2)を算定しているときは算定しません。上乗せとロには、都道府県知事への届出が必要です。届出の様式や添付書類は、指定権者(都道府県・指定都市等)の案内をご確認ください。

同一敷地内などの送迎は70%で算定する

事業所と同じ敷地内、または隣接する敷地内の建物との間で送迎した場合は、所定単位数の100分の70を算定します(告示の注4。児童発達支援・放課後等デイサービスとも)。通知は、上乗せの加算がある場合は、加算した後の単位数の合計の100分の70になる、と補足しています。端数の処理は、留意事項通知の通則に定めがあり、割合を掛ける計算をするたびに小数点以下を四捨五入します(金額に換算するときの1円未満は切り捨て)。たとえば基本の54単位なら、54×70/100=37.8で、38単位です。隣接する敷地内の建物との間も含まれます。どこまでが「隣接」に当たるかは、自治体にご確認ください。

1日の算定の考え方

告示は「片道につき」と定めています。そのため、迎え(往)と送り(復)は、それぞれ1回です。実績記録票の送迎加算の欄も、往路と復路を分けて記載する形です。

1日の上限回数を別に定めた文言は、確認した告示・通知の本文には見当たりませんでした。往路と復路で、1日に生じうるのは2回と読めますが、個別の算定は自治体にご確認ください。

算定要件を整理する

留意事項通知の定めを、記録との関係がわかるように並べます。

1. 対象は、居宅等(放デイは学校等も)と事業所との間の送迎。 告示が定める対象は、この区間の送迎です。

2. 居宅以外の場所での乗り降りは、事前の同意と場所の特定が必要。 通知は、居宅までの送迎のほか、利用者の利便性を考えて、適切な方法で最寄駅や集合場所まで行った場合も算定して差し支えないとしています。ただし、事前に通所給付決定保護者の同意を得たうえで、特定の場所を定めておく必要があるとしています。記録との関係が最も深い定めです。

3. 重症心身障害児・医療的ケア児の上乗せは、同乗する職員の要件がある。 通知は、運転手に加えて職員を伴う場合に算定するとしています。重症心身障害児は、人員基準で置くべき従業者のうち直接支援業務に従事する者、医療的ケア児と中重度医療的ケア児は看護職員です(喀痰吸引等のみが必要な子の送迎では、認定特定行為業務従事者を含みます)。重症心身障害児が医療的ケア児でもある場合は、医療的ケア児として算定するため、看護職員の同乗が必要です。

4. 通知には、送迎の乗降時刻や同乗職員の氏名を、記録するよう求める定めは確認できなかった。 基本の54単位については、同乗職員の要件もありません。これらは、後から説明するための当社の考えであって、通知の最低ラインではありません。

5. 放課後等デイサービスは、送迎の必要性の判断に配慮が求められる。 通知は、通所の際の道路などの安全性、就学児の年齢と能力、公共交通機関がないなど地域の実情を考えて判断するとしています。そのうえで、自ら通所できる就学児の自立の力を妨げないよう配慮するとしています。

6. 送迎の時間は、サービスの提供時間に含まない。 通知は、サービスの提供時間を、送迎に係る時間を除いて数えるとしています。

7. 安全の確保は、別の定めとして求められている。 送迎加算の算定要件として、安全計画への位置付けを求める定めは、確認した通知にはありません。ただし、安全計画の策定や、自動車を運行する場合の子どもの所在の確認は、運営基準の別の定めとして求められています。大分市の運営指導の資料にも、どちらも確認項目として挙がっています。

運営指導で見られる点

自治体の指導の結果にも、この加算が出てきます。大分市が公表している「令和7年度指導監査における主な指摘・指導事項<障害福祉サービス等>」では、報酬請求の「加算の算定について」の項に、送迎加算として「居宅以外への送迎について、事前に利用者と合意のうえ、特定の場所を定めていない」が挙げられています。この項は障害福祉サービス・障害児通所支援・相談支援に共通の見出しの下にあり、サービス種別は区別されていません。

この指摘の内容は、先ほどの要件の2に、そのまま対応しています。同じ資料の運営基準の項には、「障害児の安全の確保を図るための措置(計画の策定、研修及び訓練の実施等)を講じていない」もあります(送迎に限った指摘ではありません)。

自治体によって確認の仕方や運用は異なります。実際の運営指導では、お住まいの自治体の通知や確認項目もあわせて見てください。

記録の残し方|架空の例11組

通知が求めているのは、おもに居宅以外で乗り降りする場合の事前の同意と特定の場所、そして上乗せの同乗職員の要件です。「送迎した」の一言では、後からそれが読み取れません。

下の例は、すべて架空です。読み取れる書き方は一例で、唯一の正解ではありません。乗降の時刻や同乗職員の氏名などは、通知が直接求める項目ではなく、当社の考えです。算定できるかどうかは、記録の書き方ではなく、実際に要件を満たしていたかで決まります。

例1|最寄駅での乗り降り(居宅以外の場所)

例2|事前の取り決めにない場所での乗降の依頼

例3|迎えの時刻(往路)

例4|送りの時刻と引き渡し(復路)

例5|往路のみ(復路は保護者が迎え)

例6|重症心身障害児の送迎(運転手+直接支援の職員)

例7|医療的ケア児の送迎(運転手+看護職員)

例8|同一敷地内の学校等からの送迎(放課後等デイサービス・70%の算定)

例9|学校からの迎え(放課後等デイサービス)

例10|送迎の必要性の見直し(放課後等デイサービス・自立の機会)

例11|迎えに行ったが不在だった場合

これらの例に共通するのは、次の4点です。

  1. 乗降の場所を特定し、事前の同意と結び付けて残す。 居宅以外の乗降は、同意と特定の場所が辿れるようにする。事前の取り決めにない場所は、算定の前に自治体へ確認する。
  2. 往路・復路を分けて残す。 片道ごとの算定なので、回数が追える。
  3. 同乗職員の要件がある区分は、職員の立場と同乗の事実を残す。 通知の要件に沿っているか点検できる。
  4. 変更・中止・不在の日も残す。 例外の扱いを後から説明できる。

乗降の時刻、運転者と同乗者の氏名、引き渡しの確認者などは、通知が直接求めていない項目で、当社の考えです。最低ラインは、居宅以外の場所の事前の同意と特定、上乗せの同乗職員の要件です。自治体の指導の方針に合わせてください。

よくある質問

Q. 最寄駅や集合場所での乗り降りも、送迎加算になりますか。 A. 通知は、利便性を考えて最寄駅や集合場所まで行ったものも算定して差し支えないとしています。ただし、事前に保護者の同意を得て、特定の場所を定めておく必要があります。

Q. 往復で送迎したら、1日に何回算定しますか。 A. 片道ごとの算定です。迎えと送りで、それぞれ1回です。1日の上限を別に定めた文言は、確認した本文にはありませんでした。

Q. 運転手のほかに、職員が同乗していないと算定できませんか。 A. 基本の54単位については、同乗職員を求める定めは確認できませんでした。重症心身障害児・医療的ケア児・中重度医療的ケア児の上乗せは、運転手に加えて、通知が定める職員を伴う送迎が前提です。

Q. 学校に迎えに行く場合も対象ですか。 A. 放課後等デイサービスは、学校等と事業所の間の送迎が対象です。児童発達支援は、自治体によって扱いが分かれています。自治体に確認してください。

Q. 同じ敷地内や隣接する建物との間の送迎はどうなりますか。 A. 同一敷地内・隣接する敷地内の送迎は、所定単位数の70%で算定します。

Q. 送迎加算のほかに、送迎の費用を保護者から徴収できますか。 A. 送迎加算とは別に、送迎の費用を保護者から徴収することは認められません。大阪府が国に照会した回答として、同府が公表しています。

まとめ

送迎加算は、①片道ごとの算定、②居宅以外の乗降場所の事前の同意と特定、③上乗せ区分での同乗職員の要件、の3つで整理できます。毎日のことだからこそ、場所の取り決め、往復の別、同乗者の立場を残しておく運営が、運営指導で説明するときにも、日々の安全を振り返るときにも、手がかりになります。

大分市の資料にも、乗降場所の事前の取り決めがない点が指摘として挙げられています。送迎の場所や方法を変えるときは、取り決めと記録の両方を見直してください。

記録を、日々の支援の中で残すために

そだちノートは、支援員が話すと、AIが短い問いかけで場面を聞き返し、施設の中で共有する記録文に整えるアプリです。そこから、先生が確認して送る保護者向けのおたよりと、明日以降に試すこと(観察する点・関わり方の案)ができます。送迎や来所・退所を残す記録画面や、加算の点検は、いまは準備中です。記録の判断と、加算を算定してよいかどうかの判断は、いつも事業所が行います。

※この記事は、2026年10月18日時点の告示・留意事項通知にもとづく一般的な情報です。自治体によって運用が異なる場合があります。個別の算定の判断は、お住まいの自治体や、所管の窓口にご確認ください。

株式会社KOTOHA
放課後等デイ・児童発達支援むけ観察記録アプリ「そだちノート」の運営元です。

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