実務

いちばん身近なのは「うっかり」です ― 誤送信・紛失から子どもの情報を守る

2026年10月28日株式会社KOTOHA

シリーズ「子どもの情報を守る ― 保育・療育の現場から」の第2回です。

こんなことが起きています

事故というと、ハッカーやウイルスを思い浮かべる方が多いと思います。でも、公表されている身近な事例には、ごく普通の仕事の中の「うっかり」が並んでいます。2つ紹介します。

事例1:添付したファイルが違っていた(堺市・2025年5月)

特別支援学校の担当者が、放課後等デイサービスの事業者へ、6月の利用予定を入力する様式をメールで再送しました。このとき、他の事業者から集めた入力済みのデータを、誤って添付しました。児童生徒64名分の、名前・学年・組・利用事業所名・6月の利用日・バスコースが、別の事業者に届きました。気づいたのは、送った担当者本人で、送信の翌日でした。

公表文には、原因が次のように書かれています。個人情報を含むメールは管理職の承認が必要だったのに、添付に個人情報は入っていないと思い込んで承認を受けなかったこと、そして、事業者向けの様式と、バス会社に渡す集約データが同じファイル名だったことです。

事例2:USBメモリが見つからない(練馬区・2024年8月)

重症心身障害児の放課後等デイサービスを受託している法人の職員が、区立のこども発達支援センターで、利用者12名分の個人情報(氏名、生年月日、支援方針など)の文書データをUSBメモリに保存して持ち帰りました。翌日、同じ法人の別の事業所で、その文書を使って書類を作成し、その後は使っていません。3日後にセンターで使おうとしたところ見つからず、紛失に気づきました。そのUSBメモリにはパスワードがかかっていませんでした。区の公表時点(9月2日)でも、見つかっていません。

保護者へは、事故の発生を連絡して謝罪したと公表されています。区は、受託法人に、個人情報を含む書類や記録媒体の持ち出し禁止の徹底と、保管場所を決めて所在を確認できるようにすることを求めました。区は、後日、詳しい経緯や原因、再発防止などをとりまとめて、改めて保護者に報告するとしています。公表文には、情報が悪用されたかどうかは書かれていません。

何が困るのか

2つの事例には、共通点があります。

参考までに、個人情報保護委員会の2026年度第1四半期の発表では、民間事業者の漏えい等の報告は5,451件で、そのうち要配慮個人情報を含むものが3,196件(58.6%)でした(4つの類型は重なることがあります)。同じ発表で、委員会は、要配慮個人情報を含む漏えい等が引き続き多いと述べ、今期は、病院や薬局に限らず、損害保険業者での「誤交付」(誤って別の人に渡すこと)も目立つとしています。要配慮個人情報は、決して特別なものではありません。

責めるより、仕組みで減らす

どちらの事例でも、一人の職員の注意力だけで防ごうとすると、また起きます。公表文でも、再発防止は研修だけでなく、承認の仕組みや保管場所の決め方といった、手順と道具の見直しになっています。

明日からできること

  1. 宛先と添付を、送る前に二人で見る。二人目がいない施設は、送信を数分遅らせる機能を使ったり、声に出して読み上げてから送るだけでも、ミスに気づく機会が増えます
  2. ファイル名で中身が分かるようにする。個人情報を含むものには、含むことが分かる名前を付け、含まないひな形と同じ名前にしない(堺市の原因の一つでした)
  3. 個人情報を含むファイルには、パスワードをかける。パスワードは、本文と別の方法(電話など)で伝える
  4. USBメモリを使わない。どうしても使うときは、暗号化できるものを使い、持ち出しを記録に残す。使う媒体の台帳を作り、保管場所を決める
  5. 気づいたら、その日のうちに責任者へ。練馬区の事例も、紛失に気づいた日に区へ報告されています。時間が経つほど、選べる対応が減ります

もっと知りたい方へ(出典)

いずれも2026年10月28日に確認しました。

この記事は一般的な情報提供であり、法的な助言ではありません。

そだちノートの情報の取り扱いは、情報の取り扱いについてに書いています。

株式会社KOTOHA
放課後等デイ・児童発達支援むけ観察記録アプリ「そだちノート」の運営元です。